小細胞肺がん脳転移 定位放射線治療

現状

小細胞肺がんでは
約40–60%と高い脳転移の傾向を認め、

初期治療で良好な治療効果を認めた
限局型または進展型では
予防的全脳照射を行うことが
推奨されているガイドラインが多い。

NCCN guidelinesでは
小細胞肺がんの脳転移に対しては
全脳照射 (WBRT) を推奨している。

これは大半の固形腫瘍がん原発の
限定的な脳転移に対しては
定位放射線治療を行うことが
標準的
になってきていることとは対象的である。

全脳照射は頭蓋内の局所、遠隔病変の
制御に有効であるが、認知機能やQoLに関する
毒性への懸念
の高まりもあり、
複数の無作為化試験が行われ、

定位放射線治療がWBRTに比べ
改善することが実証されている。

しかし、様々な要因から
小細胞肺がんはこれら無作為化試験の
対象から除外されてきた。

そのためSRSのデータが少なく、
たとえ1個の脳転移であっても
WBRTを選択することが多かった


MRIの進歩やWBRTによる
神経毒性の認知度上昇も相まって、
小細胞肺がんのかなり選択した対象に
SRSを実施すべきでは

近年言われるようになってきた。

紹介論文


初回治療にSRSを実施した
PCIやWBRTの照射歴のない
小細胞肺がんを対象に
9の研究を含めたメタアナリシスである。

患者・腫瘍データの中央値
Age = 64
KPS 80
#BM = 2
SRS dose = 18 Gy (17–21)
PTV 1 mL
f/u duration = 8 months

SRS単独の場合OS中央値は8.3ヶ月で、
WBRTと比べても有意差はなかった。

1年後のLCについては93%
他がん腫の脳転移と同様に 高い制御割合であった。

また、治療対象とした以外の
頭蓋内再発の'ない'割合は
1年で41%
であった。


これらはMRIと絡めて
salvage SRSをすることで
対処していけるだろうと思う。

中枢神経死が回避できたのは
1年で87%と高いことも
SRSを選択しやすい理由となろう。

Atezolizumabはじめ
免疫チェックポイント阻害薬の登場前のデータであり、
今後長期生存者が増えることが予想
される。

こうした背景から
定位放射線治療と全脳照射で悩むことになる
患者が増えてきそうであり、
適切な対象の見極めが大切になる。

そうした部分で
予後の見立ても大切であろう。

進行中の臨床試験

小細胞肺がんの脳転移への
定位放射線治療関連では

ENCEPHALON trial🇩🇪
(PII, WBRTalone vs SRS with 1–10# BM)

NCT03391362🇺🇸
(PII, sigle arm, SRS with 1–10# BM)

NRG-CC009🇺🇸
(PIII, SRS vs. 海馬避けWBRT with 1–10 #BM)


などが注目試験である。