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子宮頸癌 術後放射線療法

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 目次 1.  背景 2.  再発高リスク群 3.  🇮🇳PARCER trial 4.  所感 背景 日本では子宮頸がんのIIA期まででなく IIB期までも手術対象とされることがしばしばみられ、 IB1–IIBの標準術式は"広汎子宮全摘出"である。 病理組織診断に基づいて再発リスク分類を行い、 リスク群に基づいて術後治療を行う。 国内では" 再発高リスク群 "は "骨盤リンパ節転移陽性", "子宮傍組織浸潤陽性"の いずれかの項目を満たすものとされる。 アメリカのガイドラインでは これらに更に"腟断端陽性"が含まれる。 当然IIB期までも手術をおこなう日本では術後放射線治療患者は多く なる。 再発高リスク群の項目をいずれも満たさず、 "大きな頸部腫瘤", "深い頸部間質浸潤", "脈管侵襲陽性"の いずれかの項目を満たすものという基準をもって 国内では" 再発中リスク群 "とすることが多い。 ただし、特に再発中リスク群については 臨床試験やガイドラインにより 基準がよく異なるので注意が必要で、 例えば" Sedlis criteria "👇では "1/3以上の間質浸潤", "脈管侵襲あり", "4 cmより大きい頸部腫瘤" を基準項目に含んでいる。 再発高リスク群への術後補助療法 SWOG 8797/RTOG 9112/GOG 109 は IA2,IB, IIA期の骨盤リンパ節転移陽性、子宮傍組織浸潤陽性、腟断端陽性例の再発高リスク を対象に行った3グループ合同のランダム化比較試験である。 術後放射線療法単独と術後化学放射線療法を比較し、 術後化学放射線療法群で全生存割合、無増悪生存割合が有意に高く、 この試験をもって 再発高リスク群に対しては 術後化学放射線療法が標準治療 とされている。 このGOG 109は化学放射線療法でのレジメンがFP (1000/7

子宮頸癌 傍大動脈リンパ節予防域

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 目次 1.  背景 2.  過去の報告 3.  紹介論文 4.  所感 背景 2019年度の強度変調放射線治療 (IMRT) 国内実態調査アンケート報告🇯🇵によると 肺がん (定位以外) 🫁IMRTと並んで 順調に増えていたのが婦人科がん👩‍🍼IMRTのようだ。 詳細な内訳は不明だが、 多くは子宮頸がんの術後放射線治療と思われる。 国内ではなぜか遅々としてひろがらなかった 肺がん (定位以外)と同じように 子宮頸がんの根治的放射線治療でも 使用している施設は今後ますます増えることだろう。 IMRT使用は血液毒性、消化管毒性の低減が期待 されるほか、 骨折のリスクが低い ことが報告されている。 鼠径リンパ節領域照射や拡大照射では3次元放射線治療よりも治療時間短縮も望める。 もしVMATを用いればmonitor unitの減少がより狙える。 子宮頸がんの骨盤領域輪郭入力については 国内外で輪郭入力で 一定のコンセンサスを得た 方法がある。 相対的に傍大動脈リンパ節予防域に関しては コンセンサスをえた輪郭入力方法があるとは言い難い。 過去の報告 ピッツバーグ大学🇺🇸 PubMed https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23849691/ Are Radiation Therapy Oncology Group Para-aortic Contouring Guidelines for Pancreatic Neoplasm applicable to other malignancies--assessment of nodal distribution in gynecological malignancies - PubMed 書籍 "Radiation Therapy Techniques for Gynecological Cancers: A Comprehensive Practical Guide"の 著者に名を連ねる米国婦人科放射線治療分野を代表するDr.のひとり、 Beriwalら率いるグループから提言された 婦人科がんのPAN輪郭入力関連のpaperである。