直腸がん short-course RTでの待機期間
直腸がん 術前療法
直腸がんの術前療法としては化学放射線療法 (LCCRT: Long-course chemoradiotherapy)と
短期間放射線療法 (SCRT: Short-course radiotherapy)に分かれる。
アメリカ🇺🇸では術前放射線治療プロトコルは
45–50.4 Gy/28frに5-FUを同時併用する
化学放射線療法 が用いられてきた。
一方 ヨーロッパ🇪🇺特に北欧 (Sweden🇸🇪, Netherland🇳🇱など) を
中心に標準的にLCCRT以外に25 Gy/5frのSCRTを
20年前より並行して行ってきた歴史背景がある。
LCCRTとSCRTを比較した代表的試験に以下の3つがある。
1. Polish I trial🇵🇱
2. TROG 0104🇦🇺
3. Stockholm III🇸🇪
低コストで、手術期間が短く、完遂しやすい
メリットがあるSCRTはこうした臨床試験から
LCCRTと全生存期間や局所制御で変わらないことが明らかになってきた。
このメタアナリシスでは
術前待機期間を長くしたSCRTでは
括約筋温存、局所再発でLCCRTと同等の効果を認め、
R0率上昇、downstagingと関連することがいわれている。
術前期間が長いと遠隔転移リスクの可能性が高まるのを心配して
手術までの間に化学療法を行うことが検討され、
Total neoadjuvant therapy (TNT)の概念がでてきた。
今回は術前療法から手術までの待機期間についてみていく。
LCCRTでの待機間隔
🇫🇷GRECCAR-6 (PIII)というstage II–IIIの中下部直腸がんに対するLCCRTで、
術前療法終了後から手術までの時間間隔を
7週間または11週間に無作為化した試験がある。
pCRこそ両群で差はなかったが、
有害事象や直腸間膜完全切除率の点で
11週の群のほうが悪いという結果であった。
この結果を踏まえて、
ASTROやNCCNのガイドラインでは
推奨間隔として大体6–11週を推奨している。
SCRTでの待機間隔
SCRT後は多くの場合7日程度内に手術が行われてきたようだ。待機時間を長くすればpCR率上昇や
downstageが狙えるかもしれないと考えから、
いくつか試験が実施されてきた。
2014年のSystematic reviewでは1–2週間間隔では
放射線療法による重篤な急性毒性は少なかったものの
術後合併症の発生率は高く、
5–13週間間隔と比べpCR割合は低く、
括約筋温存やRO切除率には差がなかったとされる。
2017年発表の🇸🇪Stockholm III内での
SCRT (1wk)群とSCRT (4–8wk)群の比較では
SCRT (4–8wk)群の方が術後合併症の減少に優れ、
局所制御は同等であった。
長めの待機時間設定が優位そうではあるものの、
その間の腫瘍再増殖リスク懸念が拭えないこと、
そこまでdownstageを必要としない対象もあり、
ASTRO guidelinesでは3日以内または4–8週を推奨している。
紹介論文
すでに5年フォロー時のpaperがあったポーランド🇵🇱からの単施設ランダム化試験が
さらに5年経過して10年以上フォローとなり、
この度publishされた。
Figure 2のカラーのちぐはぐさやp値の誤植などはご愛嬌
本試験ではStockholm IIIと異なり
待機時間が長い方で局所再発が有意にみられた。
ただし、全生存、無病生存、全身性再発の点では
同等という結果であった。
所感
懸念していた期間があくことによる遠隔再発増加はなく、
数値上はむしろ短期間待機のほうが多かった。
Resectableなものに対してSCRT後に
遠隔再発増加を懸念してchemoをするという
TNTのような戦略はむしろ過剰戦略となりえる。
SCRT後の待機間隔は長いほうが
いいのではとの風潮になりつつあったところでの
この結果だったので、ある意味疑問は振り出しに戻ってきた感がある。
どういった対象が
どのような待期期間をとるとよいかを
見極めていく流れになるかもしれない。
今後、ほかの長期フォローの結果が
でてくるかもしれない。